コミュニケーションは、ビジネスにおいて非常に重要なスキルの1つです。
そしてコミュニケーションを取った結果、相手の反応がイマイチ良くなかったり、うまく伝わらなかったりすると、その後の仕事や人間関係に悪影響を与えることもあります。
そこで、この記事では「ソーシャルスタイル理論」というコミュニケーション術を紹介します。
🌟こんなお悩みを持っている方に読んでいただきたいです🌟
✅コミュニケーションの研修ってどんなことを教えれば良いんだろう?
✅考え方が合わないから上手くコミュニケーションが取れない
✅頑張ってコミュニケーションを取っても反応がイマイチ
✅苦手な人とどうしてもコミュニケーションを取らないといけなくてストレス
もくじ
🔷ソーシャルスタイル理論とは
🔹ソーシャルスタイル理論について
普段の相手の言動から、 「自己主張の強さ」と「感情表現の強さ」の2つの軸を使い以下の4つのタイプに分けます。
自己主張が強め、感情表現が小さい場合はドライバータイプ。
自己主張が控えめ、感情表現が大きい場合は、エミアブルタイプ。
自己主張が強め、感情表現が大きい場合は、エクスプレッシブタイプ。
注意点としては、感情表現はあくまで抱いている感情が「表情となって顔や声色に出るかどうか」ということです。
感情があるないという話ではないためご注意ください。
ソーシャルスタイル理論は、仕事能力や本人の性格を判定するものではなく、コミュニケーションを取る際の癖をざっくりと4タイプに分けるものです。
ソーシャルスタイルの各タイプで好みのコミュニケーションの取り方があり、苦手なコミュニケーションの取り方があります。
そのため、同じタイプだと比較的打ち解けやすく、対角線上にいるタイプは苦手なタイプになると言われているそうです。
また、何かを決めたりするときに、ドライバーとアナリティカルは「事実(データ)」に基づき、エミアブルとエクスプレッシブは「人」に基づき決めたりする傾向があります。
ソーシャルスタイル理論は、そこまで難しくなく、血液型診断や心理テストのような感覚で手軽にできます。
研修の題材としても、自分の日常のコミュニケーションの手法としても使えるので、その取り組みやすさも特徴の1つです。
🔹社内研修に使えるソーシャルスタイル理論
💡コミュニケーション
💡対応力向上
💡部下の指導育成
💡接客サービス
ソーシャルスタイル理論は、コミュニケーションの基礎となる部分ですので上記のような研修に組み込むことができます。
「新人研修のコミュニケーションスキルの第一歩として」「管理職研修の箸休めの内容として」など上記以外にも色々な組み込み方があるため、お好みの方法で是非組み込んでみてください。
「苦手な人がいるから関わりたくないな」という気持ちが「あの人は〇〇タイプだから、こういうタイプなんだな」と変化し、対応力の向上にも繋がり、コミュニケーション研修の初級編としてもソーシャルスタイル理論はオススメです。
昔に流行った血液型診断で例えるとイメージしやすいかもしれません。
「あの人は自分勝手だなぁ」という気持ちも、血液型診断を知ると「あの人はB型だから自分勝手でも仕方ないな」という気持ちに変化するというイメージです。
そういったラベリングの可否はさておき、相手に対して寛容さを身につけることができるのがこのソーシャルスタイル理論だと思います。
また、自分自身がどのタイプを知ることで、自分自身を見つめ直し何が足りていないのかを把握してコミュニケーションの質を向上させる効果も期待できます。
🔷ソーシャルスタイル理論4つのタイプ
🔹ソーシャルスタイル:ドライバーの特徴
歴史上の人物では織田信長がドライバータイプに該当すると言われています。
プロセスよりも、結果に重点を置き、成果を追求する傾向があります。
迅速な決断力と行動力を持ち、チャレンジや困難に積極的に取り組むのも特徴の1つです。
また、コントロール欲が強く、自分の意志を実現することに喜びを感じます。
ドライバータイプはリーダーシップの資質を持っており、自分の目標達成やチームの成功に向けて努力を惜しみません。
🔹ソーシャルスタイル:アナリティカルの特徴
歴史上の人物では明智光秀がアナリティカルタイプに該当すると言われています。
合理的な判断を下す能力に優れており、情報収集の時間を惜しみません。
ロジカルに整理し、先を見据えて細部に注意を払い、正確性や正当性を重視します。
計画的で慎重な性格であり、リスクを最小限に抑える傾向があります。
アナリティカルタイプはデータや事実に基づいて意思決定をすることが多いです。
論理的な思考と分析能力を活かして問題解決に取り組み、効率性と正確性を追求していくことを好みます。
🔹ソーシャルスタイル:エクスプレッシブの特徴
歴史上の人物では豊臣秀吉がエクスプレッシブタイプに該当すると言われています。
コミュニケーションが得意であり、自分の感情や意見を自由に表現できることが特徴です。
社交的で人との関わりを重視し、活発なコミュニケーションを通じて人々とのつながりを築きます。
また、クリエイティブな思考やアイデアを持ち、新しいことに挑戦することを好む人が多い傾向です。
エネルギッシュでチャーミングな性格な事が多く、周囲の人々を魅了することもできます。
エクスプレッシブタイプは、情熱とエネルギーをもってプロジェクトや目標に取り組み、メンバー同士の協力促進に大いに貢献できるタイプです。
🔹ソーシャルスタイル:エミアブルの特徴
歴史上の人物では、徳川家康がエミアブルタイプに該当すると言われています。
温かく優しい性格であり、他者の感情やニーズに敏感に対応できます。
人々との信頼関係を築き、チームワークを重視する傾向です。
また、共感力に優れており、他人の気持ちや立場を理解し、サポートすることに喜びを感じます。
コミュニケーションにおいても、人見知りする方が多い一方、優れた対人スキルを持ち、円滑な関係構築に貢献できるタイプです。
エミアブルタイプの優しさと思いやりは、組織やチームの和を作り、協力的な環境を促進するでしょう。
🔹さらに細かく16タイプに分けることもある
実際は、こんなにはっきりと4つのタイプに分かれないことも多いのではないでしょうか。
「自分はエミアブルっぽいけど、エクスプレッシブっぽさもあるな」とか、「ドライバーだけどエクスプレッシブの特徴も当てはまる」のように、他のタイプの特徴が一部当てはまることもあるかもしれません。
そのため、更に細かく「エミアブルよりのアナリティカル」や「ドライバーよりのアナリティカル」というように、16タイプに分けることもあるようです。
🔷相手のソーシャルスタイルの見分け方
コミュニケーションの4つのタイプをどのように見分ければ良いのでしょうか。
ソーシャルスタイルを判断するには、何人か周りの人に聞くか、診断シートで判断するとより正確です。
今回は精度は落ちますが、言動などから見分けられる方法をご紹介します。
以下に各タイプの傾向などをまとめました。
当てはまるほどそのタイプの可能性が高いと思います。
🔹ドライバー
💠話し方は断定的で言い切る形を好む
💠アイスブレイクや雑談を挟まずにすぐに本題に入る
💠話すときは結論が最初
💠早口
💠相手の目をしっかりと見る
💠答えがYES・NOがはっきりしていてウヤムヤにしたり先延ばしにしない
💠決断が早い。即断・即決・即実行
💠相手をコントロールしたがる
💠出来る限り自分で物事を決めたい
💠結果や成果が第一
🔹アナリティカル
💠声のトーンは一本調子で淡々としている
💠声の高さは低め
💠順序に沿って説明して結論は最後に持ってくる
💠話すときや作成する資料の情報量が多く、1つの文章が長め
💠話の内容や資料の内容よりも、そこに使われるデータや正確さが大事
💠目をあまり合わせず、視線を背けることが多い
💠早さよりも質を重視する
💠現実的客観的に時間をたっぷりとかけて判断をする
💠即答せずに一度持ち帰りじっくりと検討する
💠成果の追求よりはリスクの最小化を常に考える
🔹エクスプレッシブ
💠声は大きめでメリハリがある
💠話すときは感情をたっぷりに込めて抑揚がある話し方
💠テンポが良い
💠身振り手振りのジェスチャーが多い
💠たとえ話やエピソードトークを好んで使う
💠注目されるのが大好き
💠成果も大事だけど、成果を出した自分がすごいと思われるの大事
💠ストライプやチェックなどが好き
💠カラフルなものが好きで4タイプの中では一番派手なものが好き
💠アクセサリーなどの小物にもこだわりがある
🔹エミアブルタイプ
💠ソフトで穏やか、包み込まれるような包容力があり、なめらかな話し方
💠常に口角が上がっていて笑顔でいる
💠話題のバリエーションが多い
💠決めつけるような断定的な言い方はしない
💠傾聴や共感が多く、聞き役になることが多い
💠成果よりもみんなの気持ちやメンタル面が大事
💠周りに配慮しながら行動する
💠縁の下の力持ち、みんなのサポートが得意
💠エクスプレッシブほどの派手さはないがカラフルなものが好き
🔷ソーシャルスタイルを使った対応方法
🔹①相手のタイプを見分ける
できる限り素の状態のときの言動をベースに考えていく必要があります。
🔹②そのタイプに合わせた対応をする
❚ドライバータイプへの対応
ソーシャルスタイルがドライバータイプの相手は、生産性がない雑談や自分の時間を奪われることを嫌がる方が多いです。
そのため、ミーティングなどでは雑談などを挟まずに早く本題に入るようにしましょう。
また、結論を最初に言うことを心がけて話すPREP(プレップ)法がオススメです。
<PREP法>
Point:結論
Reason:理由
Example:具体例
Point:もう1度結論
ドライバータイプの質問には即答することも大事です。
絶対に答えが出るのであればそれに越したことはありません。
もし、すぐに即答ができない場合は「今は不確定な部分が多いので後ほどお答えいたします。」と答えても大丈夫です。
質問に対して無言になってしまったり、曖昧な答えなどを返さないように気をつけましょう。
ドライバータイプは主体的で素早く積極的な対応を好む傾向にあります。
また、自信家が多いため「あなたには敵わない」という姿勢を忘れないようにしてください。
ドライバータイプと接する時はとにかく結果と早さを第一に考えるのがポイントです。
ドライバータイプに何かを頼むときは、「Aさんなら問題ないと思うから後は任せた!」「必要なものがあればすぐに手配するから好きにやってくれ。」という信じてすべて任せる物言いが好まれます。
❚アナリティカルタイプへの対応
ソーシャルスタイルがアナリティカルのタイプは、話している人物よりも内容やデータに興味があります。
アナリティカルタイプと接する時は、データや話の中身に力を入れるのがオススメです。
できる限り細かくデータを集めるようにしましょう。
また、アナリティカルタイプは最初から最後まで一貫してリスクを最小限に抑えたい傾向があるため、収集するデータや話す内容でリスクやリスクを抑える方法などについても触れるとより興味を持ってもらいやすくなります。
話すときは、無理に盛り上げたりする必要はなく、相手と同じ熱度で淡々と話した方が心地よいコミュニケーションを取れるかもしれません。
ドライバーと違い、結論を最後に持ってくることを好む傾向があります。
メリット、デメリット、デメリット、メリット、結論のような順番で話すと好まれやすいです。
また、アナリティカルタイプは、意思決定に時間が掛かるのであまり急かさないように気をつけましょう。
アナリティカルタイプの上司や部下と話すと、正論で返されてしまい何も言葉が返せなかったりすることもあります。
そんなときは、「そうなんですよね、Aさんはどうすれば良いと思いますか?」と、正論に共感をした上で相手の意見を聞くようにすると話が進みやすくなるかもしれません。
❚エクスプレッシブタイプへの対応
ソーシャルスタイルがエクスプレッシブタイプは、注目重視型だと考えると対応がしやすいです。
話をするときは、相手の話に少し大げさに共感するだけで構いません。
エクスプレッシブタイプは、ノリが良くて明るく、自分が注目されることを好みます。
「A先輩も褒めてたよ!」「Bさんしか頼れないんだ、お願い!」など。
「Cさんって給料いくらなの?」とか「Cさんって彼女いるの?」「何か面白い話して!」など、相手の心に土足で踏み込むような発言も多いかもしれません。それは距離を詰めたくてやっている人が多いです。
実はその質問の答えにはそこまで興味がなくて、仲良くなりたいだけなこともあります。
そこまで深く受け止めずに「答えづらい質問ですね!Dさんの方こそどうなんですか?」と返しましょう。
エクスプレッシブタイプは注目重視型のため、そこで自分に話題が振られると喜んで話してくれます。
エクスプレッシブタイプに何かを頼むときは、細かい説明などを嫌がる傾向にあるため、ある程度は曖昧な部分を残して自由にやらせるのがオススメです。
ただし、上手くできなかった際に「Dさんに任せたのが私が馬鹿だった」のような言い方は他のタイプ以上に自尊心を傷つけるため注意しましょう。(タイプに関係なくこのような指摘の仕方は良くありません。)
❚エミアブルタイプへの対応
エミアブルタイプは人と話をするのが好きなので、生産性のない会話やアイスブレイクを好みます。
打ち合わせなどで、アイスブレイクや雑談もなく本題に入ってしまうと「ちょっと苦手な人だな」と思われる可能性があるので注意しましょう。
エミアブルタイプは、「みんな」という全体の和を大事にするため、1人ではなかなか意思決定ができません。
「この仕事はあなたが適任よ。みんなそう言ってる。」「俺と相談しながら進めていこう。」という接し方が喜ばれます。
中々話が進まないときはどんなことに不安を感じているのか「相談に乗る」という姿勢を見せることが大事です。
リスクを取りたくないと言うと少し無責任な印象を受けるかもしれません。
ただ、エミアブルタイプにとっては、リスクはみんなで取るものだと考えると対応しやすくなるのではないでしょうか。
そのため、エミアブルタイプの上司に相談をするときは、客観的事実と状況を5W1Hで説明して自分なりの解決策を伝えるのがオススメです。
2人でリスクを共有する形に持っていくとエミアブルタイプと話を進めやすくなります。
🔷ソーシャルスタイルの応用
ソーシャルスタイル理論は、コミュニケーション研修や対応力で使用する以外にも色々な場面で活用できます。
例えば、一気に短期間で成果を上げるプロジェクトチームを作るときは、同じソーシャルスタイル同士で組んだ方が意思疎通や進行がスムーズになります。そういうときにこのソーシャルスタイル理論を知っておくとメンバーを選びやすくなるかもしれません。
どのソーシャルタイプが一番良いというのはなく、4つのタイプの人材が満遍なく居る組織が良い組織です。
上記のような別段の事情がない場合は、組織やチームの中でソーシャルタイプに偏りがないか注意して異動や採用をすることで、より強い組織を作り上げることに貢献してくれます。
基本的なコミュニケーションの研修以外にも、接客研修やクレーム対応の研修、部下の指導育成、新入社員の上司との付き合い方、チームビルディングなど様々な研修にも応用が可能です。
ソーシャルスタイル理論は、「分かりやすい」「外見や行動からタイプを判断できる」「応用範囲が広い」特徴があります。
また、「自分を知る」「相手を知る」「どう対応するかを知る」3つの手順を踏み、一番難しい「どう対応するかを知る」が分かるものです。
仕事でも日常でも役に立つため、従業員の方も喜んで学んでくれる傾向があります。
🔷最後に…
🔹ここまでのまとめ
- ソーシャルスタイル理論はコミュニケーションの癖を4つのタイプに分類したもの。
- 「分かりやすい」「外見や行動からタイプを判断できる」「応用が広い」特徴がある。
- あくまでもコミュニケーションの癖であり、性格や仕事能力ではない。
- ドライバータイプは、感情表現:小×自己主張:強の結果重視型。
- アナリティカルタイプは、感情表現:小×自己主張:弱のデータ・理論重視型。
- エクスプレッシブタイプは、感情表現:大×自己主張:強のノリが良い注目重視型。
- エミアブルタイプは、感情表現:大×自己主張:弱の協調友好型。
- 相手のタイプを見分けて、相手の好むスタイルに合わせるとコミュニケーションがスムーズになる。
- 自分と相手のソーシャルスタイルを知ることで「苦手だな」という気持ちが軽減されて付き合いやすくなる。
🔹ソーシャルスタイルは絶対ではない
対角のタイプだから絶対に苦手意識を持つわけではありませんし、同じタイプだから絶対に仲良くなりやすいわけではないことに注意をしましょう。
あくまでも「そういう傾向がある」程度に留め、ソーシャルスタイル理論に固執し過ぎずに1つの目安として柔軟に使用することをおすすめします。
ソーシャルスタイル理論を使用した社内研修も、お客様のソーシャルスタイル理論を使用した社内研修のサポートも可能です。
それ以外でも社内研修、人材育成でお困りの方は是非お気軽にお問い合わせくださいませ。